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#2. Alice in Wonderland

執筆者の写真: Hiro KHiro K

更新日:2020年5月8日

(おすすめ動画)

Bill Evans / Sunday at the Village Vanguard


(Background)

1951年に公開されたディズニー映画「不思議の国のアリス」の為に、Sammy Fainによって作曲された。原曲はGメジャーだが、ビル・エバンスやオスカー・ピーターソンはCメジャーで演奏している。


(個人的見解)

pivot chordを使った転調、(tonicization)、楽曲のクライマックスを構築する為に使用されているコード進行やメロディーなど、シンプルに聴こえるが、作曲的な観点から見ると良く考えられて作られた素晴らしい楽曲。


(Harmony&Melody)

三部形式(ABA(各16小節))。(添付した譜面は)Cメジャー。


Aメロは4小節の山形のフレーズとサブドミナント代理のDm7で始まり、Cメジャースケール内で安定した調整を保っている。


一方、BメロはAメロ同様の山形のフレーズとコードで始まるが、各小節1音と簡素化され趣が異なる。


また、m.25では、この楽曲で初めてCメジャースケールに存在しない音とコード、F#m7が現れ、一時的にEマイナースケールへ転調する(※Tonicization)。m.27でEマイナースケールのトニック、Em7になる。このEm7は、Eマイナースケール上のトニックであると同時にCメジャースケール上のトニック系(iii7)であり、同じ(トニック系という)機能で、再びCメジャースケール上戻るためのピボット・コード(Pivot Chord=起点)とみなすことができる。このようにBメロでは、Aメロには無い調性上の展開が起きている。


メロディーの視点から見ても、m.26では楽曲の中で最も高い音、Cであり、メロディーとハーモニーの展開によって楽曲のクライマックスを構築していると言える。


Bメロの後半(最後の4小節)では、コードの変化は2倍(1小節に対して2つのコード)であると同時に、メロディーが順音階的に下降していき、Bメロの終わりと新しいセクションの始まりを予感させる。


(※2種類の転調)

一般的に、調性が変化することを「転調(modulation)」と1つの言葉で表現されることが多いと思いますが、ここでは2種類の転調について紹介します。これが区別できると分析が分かりやすくなるので覚えておくと便利です。


多くの楽曲で転調(modulation)が起きますが、大まかに転調には「短いもの」と「長いもの」の2つあります。


「短い転調」は一時的に調性が変化するが、また直ぐに元の調性に戻ります。造語だと思いますが、アメリカではTonicization(トニシゼーション)と呼ばれることがあります。つまり、一時的に「(別ば調性の)トニック化」するということです。


「長い転調」は、ソナタ形式などに見られるように、長いセクションに渡り調性が変化するもので、一般的に知られた転調(モジュレーション(modulation))と呼ばれるものです。


 
 
 

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