#7 That's the Way of the World
- Hiro K
- 2021年12月25日
- 読了時間: 6分
更新日:2022年3月4日
That’s the Way of the World
作詞・作曲 Charles Stepney, Maurice White, Verdine Adams White
参考音源
オリジナル・ヴァージョン (1975)
ライブ・バージョン(2000)
(歴史)
この楽曲は、Earth, Wind & Fireによって1974年の秋に録音され1975年6月にシングルとしてコロンビア・レレコードから発表された。ビルボード・ホット・ソウル・シングルで5位、ビルボード・ホット100で12位。
また、この楽曲の曲名はEarth, Wind & Fireが1975に発表したアルバムのタイトルとなった。バンドリーダー兼プロデューサーであったモーリス・ホワイトが作編曲家のチャールズ・ステップニー(Charles Stepney)とバンドのベーシストかつ弟のバーデン・ホワイト(Verdine White)と共に作った。
(分析)
全体として、基調はDbメジャーとし、半音下降のクリシェ(ベースではなく内声部)と持続低音(pedal point)を特徴とする楽曲である。イントロ、A、B、C、Dを基本とする5部構成。
(イントロ&A&B部)
コード進行はイントロ部、A部、B部は基本的に以下のような進行をベースにしている。トニックから始まり、セカンダリー・ドミナント(Db7)からサブドミナント(IV=Gb)、そして、サブドミナント・マイナー(iv=Gbm=Modal Mixture=同主短調のコードを使用)というコード進行になっている。
DbM7 - Db7(9) - Gb/Db - Gbm/Db
IM7 V7/ → IV4 iv4
また、後半の2つのコード(Gb/DbとGbm/Db)は転回形を使うことによって、この4小節は基本Dbのベースを持続させるペダル・ポイント(pedal point)を作り出している。
(C部前半の4小節)
C部では、AとB部とは対照的にベースが動き始める。AとB部と比較すると、2つ目のコード(Abb7#11)がセカンダリー・ドミナントの代理コード(bII7)が使用されている。また、4つ目のコードはiii7(=Fm7)となり、つまり、2から4番目のコードまで半音ずつ下降する進行となり、これもA&B部
のペダル・ポイントと対照的なベース・ラインとなる。
DbM7 - Abb7#11 - GbM7 - Fm7
IM7 bII/ → IVM7 iii7
(C部後半の6小節)
前半の4小節は同じコードを繰り返すが、A&B部とC部と比較するとこれもこれまでにないベース・ラインで対照的といえる。後半の6小節は調性上の進行と終止形である。
GbM7 Fm7 GbM7 Fm7 Bbm7 Ebm7 Ab7sus Ab7
IVM7 iii7 IVM7 iii7 vi7 ii7 V7sus V7
(※bb=ダブル・フラット。半音x2=全音下げる。つまりAbb=G、Cb=B)
(※下線は1小節を意味し、1小節の中に2つのコードがあるという意味。)
(D部前半)
DbM7 - Abb7#11 - GbM7 - Cb7
IM7 - V7#11/ → - IVM7 - bVII7
D部は、A&B部に近いコード進行である。A&B部の4番目のコードは 同主短調のivを使用していたが(Modal Mixture)、ここでは、同じように同主短調のコードを使用してはいるが、A&B部のサブドミナント・マイナー・コード(iv)の代理和音bVII7を使用している。理論上はサブドミナントコードだが、セブンス・コードの為、ブルース感を作り出している。ここで重要なのは、コードの解釈を広げたコテコテのブルース進行を使うのではなく、あくまで同主短調上のみのコード進行を使うことによって、気づくか気づかないくらいのブルース感をこのサビの部分で作り出している点が作曲家の音楽理論の深い理解と意図的なコード進行の構築や楽曲の構成を感じ取ることができる。
(D部後半)
D部の後半のコード進行はこの楽曲の中で一番複雑で興味深い。まず、これまで最初のコードはDbのトニック形だったものが、ここでは(第2)転回形でベースがAbとなっている。これには理由があって、ベースが次のDb7へ5度下に動かす為である。また、これまで2番目のコードは1つだけであったが、ここでは、セカンドリー・ドミナント(Db7)とセカンドリー・ドミナントの代理(Abb7)の両方を使い次のGbM7を導き出している。そして、C部と同様にCb7に到達する。つまり、これによって、5度進行下降形に”近い”ベース・ラインを作り出しているのである(Ab→Db→Abb(=G)→Cb(=B))。
Db/Ab - Db7 Abb GbM7 Cb7(9)
IM7 - V7/→ bII7/ → IVM7 bVII7
(全体)
興味深いことに、各構成部は和声進行を少しずつ変化をさせたもので、大きく異なる物ではない。それは、おそらく曲の雰囲気や流れを変えずに持続させたかったからではないかと思われる。しかし、そのままではただの繰り返しになってしまい、曲の盛り上がり(クライマックス)を作り出すことができず、楽曲として単調になってしまう。そこで主に以下のような工夫をして、段階的に変化さて楽曲を盛り上げているといえる。
①イントロ、A部、B部、をペダル・ポイントにする。
②コード進行を徐々に変化させる。
③徐々にベースラインを動かしていき、サビのDで一番動くようにする。
④D部でブルース感を出す。
⑤D部でボーカルをEW&Fの特徴的な男性ボーカルのファルセットで楽曲の最高音に導く。
(見解)
このように緩やかに始まり、徐々に変化が加わり盛り上がっていくのは明らかに意図的で、クラシックでいうバリエーションのような構成になっています。よってクラシックの素養のある作編曲家が関わっているだろうことが想像でき、やはり、Charles Stepneyの影響が大きいのではないかと思われます。これまで漠然と素晴らしい曲だと思っていましたが、分析するとやはり緻密に作られているのだということに気付かされ、驚かされました。
(歌詞)
Intro
4m(keyboard)&8m(Horns)
A1(0:35)
Hearts of fire creates love desire
燃える心は愛の欲求を生み出し
take you high and higher to the world you belong.
あなたをあなたの世界の高く、さらに高くへと導く
Hearts of fire creates love desire
燃える心は愛の欲求を生み出し
high and higher to your place on the throne.
あなたをあなたの王位の座へと高く、さらに高くへと導く
B1(0:59)
We come together on this special day,
私たちはこの特別な日に一緒に集まり、
sing our message loud and clear.
私たちのメッセージを大きくハッキリと歌うんだ。
Looking back, we've touched on sorrowful days,
振り返れば悲観に暮れた日々、
future, past, they disappear.
未来、過去、それらは消えてゆくんだ。
C1
You will find peace of mind,
あなたは心の平和を見つけるだろう。
if you look way down in your heart and soul.
もしあなたが心と魂のずっと奥を見たならば。
Don't hesitate 'cause the world seems cold.
世界が冷たいからと躊躇しないで。
Stay young at heart, 'cause you're never, never old.
あなたは決して老いることはないんだから心を若く保つんだ。
D1
That's the way of the world,
それが世界のあり方なのさ。
plant your flower and you grow a pearl.
花を植えて、君は真珠を育てるんだ。
Child is born with a heart of gold.
金の心を持つ子どもを授かる。
the way of the world, makes his heart so cold.
世の中がその子の心をとても冷たくするんだ。
Interlude (2:30)
4m(keyboard) & Guitar Solo 12m(Horns)
A2(3:07 )
Hearts of fire create love desire
燃える心は愛の欲求を生み出し
take you high and higher to the world you belong.
あなたをあなたの世界の高く、さらに高くへと導く
Hearts of fire, love desire
燃える心、愛の欲求
High and higher, yeah yeah yeah
高く、さらに高くへ
Hearts of fire, love desire
燃える心、愛の欲求
Ahh higher
さらに高く
B2(3:50)
We come together on this special day,
私たちはこの特別な日に一緒に集まり、
sung our message loud and clear.
私たちのメッセージを大きくハッキリと歌ったんだ。
Looking back, we've touched on sorrowful days,
振り返れば悲観に暮れた日々、
future disappears.
未来は消えてゆくんだ。
C2
You will find peace of mind,
あなたは心の平和を見つけるだろう。
if you look way down in your heart and soul.
もしあなたが心と魂のずっと奥を見たならば。
Don't hesitate 'cause the world seems cold.
世界が冷たいからと躊躇しないで。
Stay young at heart, 'cause you're never, never, never
あなたは決して、決して、老いることはないんだから心を若く保つんだ。
D2(4:41)
That's the way of the world,
それが世界のあり方なのさ。
plant your flower and you grow a pearl.
花を植えて、君は真珠を育てるんだ。
Child is born with a heart of gold.
金の心を持つ子どもを授かる。
the way of the world, makes his heart so cold.
世の中がその子の心をとても冷たくするんだ。
(5:05)8m
DbM7-Db7/Abb(g)-GbM7-Cb7x2
A3(5:28)
Hearts of fire, love desire
燃える心、愛の欲求
High and higher, yeah yeah
高く、さらに高くへ
Hearts of fire, love desire
燃える心、愛の欲求
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