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Barbra Streisand
BRAD MEHLDAU
(Background)
(バックグラウンド)
1940年、アメリカのRodgers and Hart(作曲家:Richard Rodgers と作詞家: Lorenz Hart)によってミュージカル、「Pal Joey」の挿入歌として作曲された。
(Rodgers and Hartは28個のミュージカル音楽と500曲以上の楽曲を作曲した。)
(個人的見解)
作曲家と作詞家が一緒に作った曲である為か、音楽と歌詞が完全にシンクロしている。メロディーとハーモニーの動きに意味があるということを認識させられる素晴らしい楽曲。
(Harmony&Melody)
Aメロ
・調性はCメジャーであり、コードはトニック(I)から始まり、ドミナント(V)で終える。よって、調性は安定している。
・Aメロ(m.1-8)はベースがクリシェになっており、半音ずつ上昇していく(1小節に2回コードが変化するペース)。
・一方で、メロディーはCが最高音を保持しながら、Cに向けて上昇するメロディーが繰り返される。つまり、大まかに見ると、メロディーはCを保持しながら、ベースは少しずつ上昇していくという、対位法的な構造(コントラスト)になっていることが分かる。
・また、最初、フレーズは1小節に対して一度上昇しているが、3小節目に2回上昇し、歌詞の切迫するような心境を表している。
Bメロ
・Aメロはトニック(I)で開始され、トニックが繰り返されていたのに対し、Bメロはサブドミナント(ii)から始まり、その後、Am(vi)やEm(iii)といった代理コードを経過し、トニックには一度も到達しない。つまり、大まかに曲全体としてはCメジャーで安定しているが、AメロとBメロを比較するとBメロは調性を若干曖昧にされ不安定と言える。
・Aメロで1小節に2回コードが変化していたのに対し、Bメロのコードは、一変、緩やかになり、2小節ごとに変化する(Aメロとのコントラスト)。
・メロディーもAメロでは上方形のモチーフだったのに対し、Bメロはその真逆である下降形(コントラスト)。この点はクラシックのモチーフの発展方法と何の変わりもない。
(Lyrics)
・Aメロは、上方形のモチーフが繰り返されると同様に、とにかく韻を踏む言葉が繰り返される。この8小節で、「again(再び)」が3回繰り返されており、後半部分も「Bewitched」「Bothered」「Bewildered」と韻が踏まれている(意味も関連している)。
・Aメロでは、主人公の女性の繰り返される相手への愛しい想いを表現している。
・一方で、Bメロは、まるで友人に話しかけるような状況説明と趣が一変する(コントラスト)。
・楽曲全体の中で最高音はm.17(エンディングのm.24も)であり、まさにクライマックスの部分である。ここで特筆すべきは、そのDの音に当てている言葉が、この歌詞で最も悲しい現実を表した「laugh」(※「笑う」という意味だが、この歌詞では厳密に「冷笑」あるいは「嘲笑」というニュアンスが含まれている)」だということである。
※この歌詞の意味が分かると、上の推薦曲で歌うBarbra Streisandの表現力の素晴らしさがより理解できると思います。
(歌詞の和訳)
※敢えて言葉の意味をそのまま訳すようにしました。詩的ではありません、あしからず。
Bewitched
(Aメロ)
I'm wild again, beguiled again
再び私は荒れて、再び騙された。
A simpering, whimpering child again
再び作り笑い、メソメソした子供
Bewitched, bothered and bewildered - am I
魅せられて、悩まされて、惑わされた、私。
Couldn't sleep, wouldn't sleep
眠ることができない、眠らない
Love came and told me I shouldn't sleep
「愛」がやってきて、私に言う「眠るべきじゃない」と。
Bewitched, bothered and bewildered - am I
魅せられて、悩まされて、惑わされた、私。
(Bメロ)
I lost my heart, but what of it
私は心を失った。でもそれが何だって言うの?
He is cold, I agree
彼は冷たい。それは分かっているわ。
He can laugh, but I love it
彼だって笑うことができるわ。私はそれを愛しているの
although the laugh's on me
たとえ、それが私に対する冷笑だったとしても
I'll sing to him, bring spring to him
私は彼に向けて歌うでしょう。彼に春を運んでいくわ。
And long for the day when I'll cling to him
そして、いつか彼にしがみつく時が待ち遠しい。
Bewitched, bothered and bewildered - am I
魅せられて、悩まされて、惑わされた、私。
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