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ローマ数字によるコード表記

執筆者の写真: Hiro KHiro K

ローマ数字表記について

調性音楽の楽曲分析の際、ローマ数字を使用することをお勧めします。何故、必要か?大まかに2つの理由があります。


①つは、分析する立場から、その楽曲の和声進行を知ることで、楽曲の和声から見た構造や特徴が分かりやすくなるからです。


②つ目の理由は、作曲する立場から、柔軟で広がりのある和声による楽曲構造を構築しやすくする為です。


さらに掘り下げると‥

①(分析する立場)の場合、和声進行から見た楽曲の特徴というものが見えてきます。どんな曲でも必ず特徴というものがあります。「この曲はここのコード進行がこうなっている所が面白い!!」などということが視覚的に理解できるでしょう。


②(作曲する立場)の場合、特に初心者が陥りやすい問題として、自身の好きな和声進行を多用してしまい、ワンパターンになってしまい、楽曲として広がりに欠けてしまうことが良くあります。自分の好きなパターン。言い換えれば「手グセ」のようなもので、楽器を演奏される方でも、よく弾きなれたフレーズなど何度も使ってしまう、といったようなこと、思い当たる方はいらっしゃるのでは無いでしょうか?ローマ数字で全体的な和声進行を客観的に見ることで、その広がりの無さ、あるいは、単調な和声進行、または、おかしな和声進行にいち早く気づけるようになります。


ローマ数字の表記方法

人や本によって、若干、表記の方法は異なります。そして、それが正確な理解を阻害するものに発展する可能性があるので気をつけなければいけません。


曖昧な表記によって生じる問題例

① コードをメジャースケールもマイナースケールも構わず、全て大文字で「I、II、III‥」などと表記する場合があります。しかし、例えば、メジャースケールの1番目のコードはメジャーですが、マイナースケールではマイナーです。それを統一して大文字「I」にしてしまうとメジャーとマイナーの区別がつかなくなります。ここを曖昧にしてしまうと、モーダルミクスチャー(メジャースケールとマイナースケールが混ざるテクニック)が使用された楽曲の場合、曖昧になってしまいます。

(解決策)

メジャーコードは大文字「I」

マイナーコードは小文字「i」


②マイナースケールの場合、同主長調と比べると(例 : C(ナチュラル)マイナースケールとCメジャースケール)、3、6、7番目の音が半音下がります。しかし、本によっては、その違いをつけず、メジャーもマイナーもコードが、III、VI、VIIと表記されている場合があります。これも上記のモーダルミクスチャーの場合や、短調と長調へ転調する時に区別して表記しなければ曖昧になってしまいます。

(解決策)

●メジャースケールの3、6、7番目のローマ表記は

iii7、 vi7、vii7b5


●マイナースケールの3、6、7番目のローマ表記は

bIIIM7、bVIM7、bVII7

のように、半音下がった音には「b」を左側に付ける。


メジャースケール

メジャースケール(ド,レ,ミ,ファ,ソ,ラ,シ)の7つの音から構成されるセブンスコードを全て表記すると。

※Mの代わりに△でも良い

※セブンスコードでない場合(=三和音のみ)は、ローマ数字以外(7とM(△))を省きます。


マイナースケール

マイナーの表記は注意が必要です。何故なら、このマイナースケールには3種類あり、種類に応じて表記方法に若干の違いがあるからです。ここを厳密かつ正確に表記することで、間違いを回避しましょう。


1. Natural Minor Scale (ナチュラル・マイナー・スケール=自然的短音階)


2. Harmonic Minor Scale (ハーモニック・マイナー・スケール=和声的短音階)


3. Melodic Minor Scale (メロディック・マイナー・スケール=旋律的短音階)


(※個人的に、音楽用語は、日本語により英語で覚えた方がイメージしやすいと思います。


日本語で書くとイメージが湧かず、効率が悪い場合が多い。例えば、「C#メジャースケール」のことを「嬰ハ長調」と言いますね。)

この3つのマイナー、何が違うかというと6番目と7番目(ラとシ)の扱い、ナチュラル(♮)になったりフラット(♭)になったりという違いです。つまり、その2つの音が変化することによって、構成される和声も変化されるということです。

※メジャーと同様、3和音のみの場合はローマ数字以外(7とM(△))を省きます。

  #5、b5、⚪︎(ディミニッシュ・コード)はそのまま。

 
 
 

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